中国証券監督管理委員会(CSRC)の基本情報
中国証券監督管理委員会(China Securities Regulatory Commission、略称:CSRC)は、中国国務院直属の金融監督機関であり、中国国内の証券・先物市場を一元的に監督・管理する権限を有しています。本部は北京市西城区金融大街19号(富凱大厦A座)に所在し、正部級(省クラス)の行政機構として位置付けられています。現任の主席は呉清氏で、4名の副主席と1名の纪检监察組組長が配置されています。
CSRCは会内に19の職能部門を設置し、全国36の省・自治区・直轄市・計画単列市に証券監督管理局を、上海・深圳には証券監督専員事務所を設けています。2023年3月の機構改革により、従来の国務院直属事業単位から国務院直属機構に昇格し、企業債券発行審査の権限を国家発展改革委員会から移管されるなど、資本市場監督機能が強化されました。
設立背景と歴史沿革
CSRCの前身は1992年10月に設立された国務院証券委員会(証券委)とその執行機関としての中国証券監督管理委員会でした。当時は中国人民銀行が証券業を監督していましたが、市場発展に伴い専門監督機関が必要となりました。
1995年3月、CSRCは国務院直属の副部級事業単位に昇格。1997年の全国金融工作会議で証券管理体制が改革され、1998年4月に証券委とCSRCが統合され、正部級の国務院直属事業単位として再編されました。これにより、全国統一的な証券監督体制が確立しました。
2023年の機構改革では、CSRCは国務院直属機構に改編され、企業債券審査権限を統合するとともに、投資者保護機能は新設の国家金融監督管理総局に移管されました。職員は国家公務員制度に統一管理されるようになりました。
法的権限と監督根拠
CSRCの監督権限は「証券法」「証券投資基金法」「先物取引管理条例」などの法律法規に基づいています。主な権限として以下が挙げられます:
- 証券・先物市場の統一監督管理
- 関連法律・規則の起草と制定
- 証券・債券・デリバティブ等の金融商品の発行・上場・取引監督
- 証券会社・投資信託会社等の金融機関監督
- 上場会社・非上場公衆会社の行動規制
- 市場不正行為の調査・処罰
- 国際協力・対外交流の推進
2023年改革後は、企業債券の審査権限も追加され、債券市場の統一監督が強化されました。
主要職責と監督範囲
CSRCの主な監督範囲と職責は以下の通りです:
- 証券発行市場監督:株式・転換社債・預託証券等の新規発行審査
- 取引市場監督:証券取引所・全国中小企業株式譲渡システム等の運営管理
- 金融機関監督:証券会社・投資信託会社・資産評価機関等の許認可・監督
- 上場会社監督:情報開示・コーポレートガバナンス・M&A等の規制
- 債券市場監督:企業債・資産担保証券等の取引規制
- 先物・デリバティブ監督:先物取引所・商品デリバティブ取引の管理
- 投資者保護:投資者向け教育・紛争解決支援(2023年以降は国家金融監督管理総局と連携)
- 国際協力:クロスボーダー監督協力・情報交換
- 市場秩序維持:不正取引・インサイダー取引等の調査処罰
連絡先情報
住所:中国北京市西城区金融大街19号富凱大厦A座(郵便番号:100140)
公式ウェブサイト:http://www.csrc.gov.cn
電話番号:+86-10-66210166(代表)
ファックス:+86-10-66210168
信訪(苦情・相談):+86-10-66210182
緊急報告ホットライン:+86-10-66210166(24時間対応)
電子メール:[email protected](一般問合せ)
監督対象機関の確認方法
ある金融機関がCSRCの監督下にあるかどうかを確認するには、以下の方法があります:
- CSRC公式サイトの「監管対象」リスト確認:公式サイトに掲載されている認可済み機関リストを参照
- 金融機関ライセンス番号の照会:金融機関が提示する業務許可証の番号をCSRCシステムで検証
- 中国証券業協会/中国証券投資基金業協会の会員名簿確認:関連業界団体の登録情報を参照
- CSRCの「資本市場誠信データベース」検索:監督対象機関の登録情報や違規記録を確認可能
- 地方証券監督管理局への問合せ:各地方の派出機構に直接照会
特に外国為替(FX)業務を行う機関については、中国国内ではCSRCの監督下にある証券会社のみが合法的にFX業務を提供できるため、事前に上記方法で認可状況を確認することが重要です。